こんにちわ2018年10月号 逆流性食道炎が増加しています 副院長 放射線科 二宮 克彦
皆さんは逆流性食道炎という病気をご存じでしょうか?逆流性食道炎とは胃酸が逆流し、食道粘膜を刺激し不快な症状を引き起こしたり、食道粘膜を傷つけてしまう病気です。通常は胃液が逆流しないように食道括約筋の働きで食道の出口は閉じていますが、逆流性食道炎はこの筋肉がゆるみ、胃液が逆流して起こります。近年急速に増加しており、高齢化の進行や脂肪やタンパク質の多い、食生活の欧米化が主な原因とされています。
逆流性食道炎の症状は最も典型的なのが胸焼けですが、酸っぱいものがこみ上げる、多量のげっぷ、胃もたれなどの症状も起こります。他にも胸の痛み、喉の違和感、咳なども起こることがあり多彩な症状が出現するのも特徴です。
逆流性食道炎の大部分は特徴的な症状により診断が可能ですが、適切な治療を行うためには内視鏡検査(胃カメラ)で病態を正確に把握することが大切です。内視鏡検査では、食道粘膜のただれや潰瘍の有無を調べる他、食道裂孔ヘルニア、食道癌や胃癌、胃・十二指腸潰瘍などの胸焼けを起こす他の病気が無いかを確認します。症状があっても胃カメラで食道粘膜に異常を認めない例は多く、全体の6~7割を占めるとされ、診断には問診も重要です。
治療は胃酸の分泌を抑える薬物治療と生活習慣の改善が中心となります。大部分の方は薬で症状が緩和されますが、食道括約筋のゆるみを直しているわけでは無いので、服用を中止すると症状が再発し、内服薬の継続(維持療法)が必要となることが多い病気です。従って生活習慣の改善も大切です。脂肪やタンパク質の多い食事、アルコールは胃酸分泌を増やし食道括約筋を緩める作用があり摂り過ぎないようにし、暴飲・暴食は止めることです。食べた後すぐに横にならないようにし、肥満は腹圧が高まるため、なるだけ解消する必要があります。胸焼けなどの症状でお悩みの方は適切な検査と治療を受け、生活習慣を改善することをお勧めします。