こんにちわ2017年10月号 痛み止めの薬の進歩 整形外科部長 竹田 治彦
整形外科の外来で変形性関節症や椎間板ヘルニア等の中で手術でない治療として保存的治療に対症療法を行う事は少なくありません。特に「痛み」に対して「痛み止め」の薬を処方する機会は多くあります。「痛み止めですか?」と言われることもありますが、骨や関節の構造たんぱくの退行変性など物理的、生化学的変化を伴う疾患を再生・再建に導くのは手術以外で現存の保存的治療の選択肢の中ではちょっと難しいと問題です。
しかし一方で国内の疫学調査においてレントゲンで変形性腰椎症、変形性膝関節症がみられる症例の約3分の2の方は痛みがない、脊椎椎体骨折の症例の約3分の2の方は痛みがない、また腰椎椎間板ヘルニアはMRI上で3人に1人いる(無症候性が多く存在すること)などが言われており、元通りではないにしても痛みを伴わないことも多く、「ずっと痛みに苦しむのでは?」と不安になることはないので、外来で相談してください。
さて、近年の国内の「痛み止め」の薬は目覚しい進歩がみられます。これまで「痛み止め」の薬と言えば非ステロイド性消炎鎮痛薬やアセトアミノフェン等でした。最近では十分に診断した結果に応じて侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛などに分けられその痛みの原因に応じた鎮痛薬が処方出来るようになり、その種類も様々です。さらに非ステロイド性消炎鎮痛薬も変化しており、馴染みの深い湿布薬にも新しい効果が期待できる薬もみられます。ただの「痛み止め?」ではなく、痛みの患者さん個々に対応した選択的な痛み止めを届けられればと思います。