こんにちわ2017年3月号 高齢者と心臓病 循環器科部長 中村 真胤
「高齢者」とは昭和31年に国連の報告書が当時の欧米の平均寿命などをもとに、65歳以上を「高齢」と表現したことを受けて、日本でも65歳以上の人を「高齢者」と位置づけてきました。昭和31年当時の日本人の平均寿命は、男性が63.59歳、女性が67.54歳でしたが、その後、食生活の改善や医療の進歩などで延び続け、平成27年は男性が80.79歳、女性が87.05歳となりました。
介護の必要がなく、健康的に生活できる「健康寿命」も、平成25年で、男性が平均で71.19歳、女性が74.21歳で、いずれも70歳を上回りました。日本老年学会は平成29年1月5日に医療の進歩などで健康的に生活できる期間が延びていることから、「高齢者」とする年齢を75歳以上に引き上げるべきだとする提言を発表しました。
「高齢者」は高血圧、高脂血症や糖尿病といった「生活習慣病」になりやすく、日本人の死亡率の第2位の心臓病は生活習慣病が引き金となって発症すると考えられています。動脈硬化が原因となる虚血性心疾患は、心臓病の中でも徐々に増えており、その一つである急性心筋梗塞の死亡率は約20%と高く、救急救命治療をいかに早く行うかが「命の分かれ道」となってきます。
心筋梗塞を予防するためには食生活・生活習慣の見直しが肝心で、栄養バランスを整えて油分・塩分・糖分を控えめにします。また、心筋梗塞は朝方に起こることが多いため、朝起きたらまずコップ一杯の水を飲む習慣をつけて下さい。次に大切なのが、毎日の運動です。特に高齢の方の場合、無理は禁物なので、ウォーキングなど安全性の高い運動を毎日30分程度継続的に行うと良いでしょう。