西条中央病院ニュースVo.l8 基本理念の改定 院長 髙田泰治
このたび西条中央病院では「基本理念」、「行動指針」、そして「患者さんの権利と責務」について改定を行いました。基本理念は、主旨は変えずに『西条中央病院は地域社会への奉仕の精神に基づき、生命の尊厳と人間愛を尊重し、親しまれ信頼される医療を提供します。』と簡潔な言葉に変更しました。
「行動指針」については、「患者様」という言葉を変えて、親しみを込めて「患者さん」と呼び、次のように致しました。
1.私達は 患者さん中心の医療を提供します。
2.私達は 常に医療水準の向上に努めます。
3.私達は 思いやりと同心協力の心を大切にします。
4.私達は 患者さんの持つ権利を尊重します。
5.私達は 開かれた医療を進めます。
この行動指針のなかにあります「同心協力」という言葉は、倉敷中央病院の創設者である大原孫三郎氏の語録の中の「同心戮力」に由来しています。当院はもともと倉敷中央病院の分院として発足しましたので「社会医療法人同心会」という法人名の由来ともなっています。「戮力」と「協力」は同義語で、「同心協力」という言葉を、現在はやさしく思いやりのある心を同じように持ち、全員が協力しながら質の高いチーム医療を行うことと解釈しています。
今回の改定で大幅に変更したのは「患者さんの権利と責務」に「患者さんへのお願い」という6項目を追加したことです。すなわち
患者さんの権利の尊重
1.人としての尊厳を保つ権利を尊重します。
2.十分な説明を受ける権利を尊重します
3.自ら決定する権利を尊重します
4.他の医師の意見を求める権利を尊重します。
5.個人情報の守秘及び開示を求める権利を尊重します。
6.病院が果せる最善の医療を受ける権利を尊重します
患者さんへのお願い
1.病院の規則や医療者の指示を守るようにしてください。
2.自分の健康状態や変化は、正しく速やかに医療者に伝えてください。
3.検査や治療などの医療行為は、充分に理解し納得した上で受けてください。
4.医療者と協力し、自らの医療に積極的に参加してください。
5.医療費は速やかにお支払いください。
6.医療者の育成にご協力ください。
患者さんの権利については、自分が患者さんの立場に立てば、すべて納得し理解できることと思います。例えば、医療行為を受ける時に恥ずかしい思いをしないように配慮すること、プライバシーを守ること、意思表示ができない人に対しても同じように人格を尊重することなどは、人としての尊厳を保つ上で重要と考えます。病気について十分な説明を受け、納得した上で、最善の医療を受けたいという気持ちは当然です。最善を尽くすために当院で不十分な場合には、他の病院に紹介することも必要です。診断や治療方法に関して、他の専門医師の意見(セカンドオピニオン)を聞くことや、希望すれば自分のカルテをいつでも見ることができる開かれた医療も尊重しなければなりません。このように常に患者さんを中心に考えて医療にあたれば、親しまれ、信頼されて、より良い医療の成果をあげることができると思います。
今回追加した「患者さんへのお願い」という6項目は、患者さんにも医療に参加していただき、協力をしていただくことが安全で良質な医療を提供するために不可欠であることがわかったためのものです。また、当院で行っている医師の研修、看護師・コメディカルの実習などに協力していただくことが、次の世代を担う医療者を育成する上で必要であることから最後の項目を加えました。
今回改定した基本理念に沿って、これからも西条中央病院がこの地域になくてはならない病院であるために全職員が同心協力のもとに努力していきたいと思っています。