最新の消化器がん治療 特任副院長 外科 渡部祐司(こんにちわ2023年7月号)
メディカル教育出版発行 こんにちわ2023年7月号より
最近の消化器がん治療
近年、外科治療は大きく変化しつつあり、良性疾患や悪性疾患に対して新しい治療法が登場しています。
わが国の死因の第一位は「がん」ですが、男性の死因上位5つのうち4つ(胃、大腸、肝、膵)が、女性では3つ(胃、大腸、肝)が消化器がんであり、これら消化器がんによる死亡は大きな割合を占めています。消化器がんは進行してはじめて症状が出現することが多く、早期発見するためには積極的な検診が必要です。
消化器がん治療は、近年大きく進歩していますが、手術、薬物療法、放射線治療、免疫療法が4大治療法です。手術は1990年以降内視鏡手術が進歩しましたが、現在では多くの外科手術において標準的な治療として位置づけられ、精度の高い手技により合併症の軽減に繋がっていますが、技術認定医などの熟練した外科医によって行われる必要があります。最近では、内視鏡手術の進化型であるロボット支援手術が保険診療として行われています。間違えやすい用語として内視鏡治療がありますが、局所治療である内科的内視鏡を使った局部切除(早期食道、胃、大腸がんで行われる)と、がんのある臓器とリンパ節切除を行う内視鏡手術が含まれます。薬物療法には、従来から行われてきた化学療法やホルモン療法と、近年進歩しつつある分子標的治療があります。更に、最近では免疫療法が登場し、患者本人の免疫機能を活用した治療として、食道、胃、大腸がんなど消化器がんにも利用され有効性が確認されています。
このように治療法は進歩しており、治療を組み合わせることで進行がんでも治せる時代になっています。しかし、最も重要なのは安全な治療を行うことであり、医師、看護師、薬剤師等多職種によるチームワークが必要となります。当院では安全かつ有効な治療を提供できるように努力しています。ご不明な点があれば、いつでもお問い合わせ下さい。
外科 特任副院長 渡部祐司