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2023-07-18

医療機関向け広報誌「まんなか」8月号 増加する心疾患へ新たな挑戦

【中村医師インタビュー全文】

Q1.プロフィールを教えてください
・これまでの経歴

1995年3月 高知医科大学卒業
1995年5月 愛媛大学医学部附属病院第二内科研修医
1996年4月 公立学校共済組合近畿中央病院研修医
1998年4月 愛媛大学大学院医学系研究科博士課程入学
     愛媛大学医学部附属病院第二内科医員
2001年9月 愛媛大学大学院医学系研究科博士課程卒業
2002年4月 町立吉田総合病院内科医員
2004年4月 愛媛県立今治病院内科医員
2006年4月 西条中央病院内科医長
2011年4月 西条中央病院循環器内科部長
2023年4月 西条中央病院副院長

・所属学会
日本内科学会、日本循環器学会、日本心不全学会、日本心臓リハビリテーション学会、日本心エコー図学会、日本脈管学会、日本呼吸器学会、日本高血圧学会、日本心臓血管内視鏡学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本透析医学会、日本腎臓学会、日本老年医学会

・資格
日本内科学会認定 認定内科医/総合内科専門医
日本循環器学会認定 循環器専門医 
日本腎臓病学会認定 腎臓専門医
日本老年医学会認定 老年科専門医 
日本心血管インターベンション治療学会認定医
日本心臓血管内視鏡学会認定医、日医認定産業医、医学博士

・出身地 愛媛県今治市
・趣味 マラソン、テニス、スキューバダイビング、ボウリング

Q2.西条中央病院の循環器内科で治療できる疾患
虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、心不全(急性、慢性)、不整脈、心臓弁膜症、下肢閉塞性動脈硬化症、深部静脈血栓症・肺動脈塞栓症、高血圧症(本態性、二次性)、低血圧症、心筋症、先天性心疾患、内シャント狭窄・閉塞

Q3.循環器内科の診断と治療について
① 虚血性心疾患
外来にて心電図(安静時、運動負荷時)、心臓エコー検査を施行します。冠動脈狭窄・閉塞を疑う場合は冠動脈CT検査を施行し、心筋虚血と心筋障害の程度の評価目的に薬物負荷心臓MRIを施行します。さらに検査・治療が要する場合に心臓カテーテル検査を施行します。冠攣縮性狭心症を疑う場合は心臓カテーテル検査にてアセチルコリン負荷試験を行います。また冠動脈狭窄の程度から心臓カテーテル治療に悩む場合には冠血流予備量比(FFR)を施行し虚血の程度を評価した上で治療を行っています。心臓カテーテル治療は血管内エコーや光干渉断層法(OCT)を用いて冠動脈病変の評価を行い冠動脈狭窄・閉塞部位に対して薬剤溶出性ステントの留置や薬剤溶出性バルーンにて拡張を行います。また症例により血管内視鏡検査で病変部位を肉眼的に評価する場合があります。2021年12月より当院では冠動脈石灰化が強い病変に対して冠動脈の狭窄病変を削るローターブレータ―やダイヤモンドバックが使用できるようになり以前では当院で治療困難な症例においても心臓カテーテル治療が可能になりました。
② 不整脈
洞不全症候群や完全房室ブロックなどの徐脈性不整脈はホルター心電図や電気生理学的検査を施行し治療の必要性があれば一時的ペースメーカー挿入や恒久的ペースメーカー植込みを行います。また失神の原因特定や脳梗塞の発症の原因が心房細動によるものか診断するのにループ式植込み型心電計を使用する場合があります。発作性上室性頻拍、心室頻拍、発作性心房細動などの頻脈性不整脈は薬物抵抗性の場合はカテーテルを用いて不整脈の原因となる異常な回路や興奮を発生してさせている部位をアブレーション(焼却)する手術がありますが必要に応じて当院からアブレーション術が可能な施設への紹介を行っています。
③ 心不全(急性、慢性)
心不全の原因精査に心電図、胸部X線、血液検査、心臓エコー検査を施行し、必要に応じて冠動脈CT,心臓MRI、心臓カテーテル検査を施行します。治療は主に点滴・投薬を行いますが心臓再同期療法(CRT)の適応がある症例や重症心不全にて治療困難な症例に関しては必要に応じて当院から紹介を行っています。また入院時より心臓リハビリをはじめ心不全チームによる多職種の包括的医療を行っています。
④ 下肢閉塞性動脈硬化症
間欠性跛行や下肢虚血による足指の潰瘍・壊死に対して脈波や皮膚組織還流圧検査(SRPP検査)を施行し下肢虚血の評価を行い、下肢動脈エコー、下肢造影CT、下肢MRAなど下肢動脈の狭窄・閉塞部位と病変部の性状を評価した上でカテーテルを用いた治療を行います。
⑤ 深部静脈血栓症・肺動脈血栓症
下肢の腫脹と呼吸困難をきたすため外来にて心電図、胸部X線、血液検査、心臓エコー検査を施行し、下肢静脈エコー、下肢・肺動脈造影CT、下肢MRVにて深部静脈血栓、肺動脈血栓の有無を確認します。深部静脈の血栓量、部位により必要に応じて下大静脈フィルター留置後に血栓溶解療法を行います。

⑥ 内シャント狭窄・閉塞
当院では透析センターがあり末期腎不全にて透析通院している患者の内シャントが狭窄・閉塞した場合に循環器内科が治療を担っておりカテーテルにて内シャントの狭窄・閉塞部位をバルーンにて拡張を行います。繰り返す症例や長時間の閉塞にてカテーテル治療が困難な症例に関してはUKカテーテル挿入し、当院泌尿器科に相談して内シャントの再造設や永久留置カテーテル挿入を行っています。

Q4.院外連携について(アブレーションや外科的処置が必要なケースなど)
不整脈にてカテーテルアブレーションが必要な場合は近隣の治療可能な施設への紹介を積極的に行っています。また大動脈弁狭窄症や僧帽弁逆流症などの心臓弁膜症で経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)や経カテーテル的僧帽弁修復術(MitraClip)の適応がある症例に関しては愛媛大学医学部附属病院や県立中央病院などに紹介を行っています。また心臓弁膜症でカテーテル治療の適応が無く、開胸による人工弁や生体弁での弁置換術が必要な場合や心臓血管バイパス術、下肢血管バイパス術、胸腹部大動脈瘤、下肢静脈瘤などに対する外科的処置については当院の心臓血管外科にコンサルトする場合や治療可能な施設への紹介を行っています。

Q5.当院の循環器内科として積極的にやっていきたいこと
当院は西条市内で複数名の循環器内科医師が常勤しており虚血性心疾患や心不全など急性期疾患に対応が可能なこともあり2020年7月より西条市内で発生した急性冠症候群(急性心筋梗塞、不安定狭心症)を受け入れて心臓カテーテル治療を行うACSホットラインを設置しています。今後も虚血性心疾患や下肢閉塞性動脈硬化症などカテーテル治療が必要な症例を増やして行きたいと思っています。また高齢化社会において心不全患者は増加しており当院でも心不全の治療を医師だけでなく多職種で包括的に治療行う心不全チームを立ち上げており入院中だけでなく退院後も心不全の再発予防に注意して再入院を減らすように今後は当院だけでなく地域全体で行えるように取り組んでいきたいと思っています。

Q6.紹介いただきたい症状・所見(どのような状況で紹介するのがベストか、数値や症状などを具体的に)
胸痛や呼吸困難、下腿浮腫など虚血心疾患や心不全が疑われる場合や動悸、失神など不整脈が疑われる場合、間欠性跛行や下肢の血色不良など下肢閉塞性動脈硬化症が疑われる場合などは紹介して頂ければと思います。また循環器疾患に加え腎機能が悪化している場合もあるため透析導入にならないように早期介入が必要です。例えば随時尿のクレアチニン補正値で 0.5 g/gCr 以上の尿蛋白が出ている場合や腎機能の低下がある場合( 40歳未満:eGFR 60ml/min/1.73m2 未満 ,40歳以上75歳未満:eGFR 45ml/min/1.73m2 未満, 75歳以上:eGFR 45 ml/min/1.73m2 未満で腎機能低下が進行する場合)、3 か月以内にeGFR が30%以上低下する急速な腎機能低下がある場合などは腎疾患の原因精査が必要ですので紹介して頂ければと思います。

Q7.副院長としての抱負
2023年4月より副院長に就任したばかりであり現在のところ副院長としての役割を十分に果たせていませんが、今後は病院を統括する院長をサポートしながら、実際の治療だけでなく、若手医師の指導や病院全体の運営にも少しずつ関われていければと思っています。

Q8.クリニックの先生へメッセージ
今後も西条市内の開業医の皆さまと協力していきながら地域医療に貢献していきたいと思います。特に循環器疾患に関しては西条市内で発生する急性冠症候群の患者を西条市内で早期にカテーテル治療が行えるACSホットラインを積極的に利用して頂ければと思います。その他、循環器疾患や腎疾患などお困り事があれば何でもご相談頂ければと思います。これからもよろしくお願い致します。

 

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