医療機関向け広報誌「まんなか」11月号 コンピューター支援で安全で確実な手術を
【髙尾教授インタビュー全文】
Q1.プロフィールを教えてください
・これまでの経歴
1991年 秋田県立秋田高等学校 卒業
1998年 大阪大学医学部 卒業
2006年 大阪大学大学院医学系研究科 臓器制御医学専攻 修了
2010年 大阪大学大学院医学系研究科 整形外科学 助教
2016年 大阪大学大学院医学系研究科 運動器医工学治療学寄附講座 講師
2018年 大阪大学大学院医学系研究科 整形外科学 講師
2022年 愛媛大学大学院医学系研究科 整形外科学 教授
2022年 西条中央病院 整形外科 非常勤医師
・所属学会・資格
医学博士(大阪大学)
日本整形外科学会専門医
International Society of Computer Assisted Orthopaedic Surgery 理事
日本コンピュータ外科学会 理事
日本股関節学会 学術理事
日本人工関節学会 評議員
中部日本整形外科災害外科学会 評議員
厚生労働省難治性疾患政策研究事業(特発性大腿骨頭壊死症)研究協力者
日本CAOS研究会世話人(前事務局長)
・出身地 大阪府
・趣味 息子(小4)とのサッカーとマインクラフト、家族旅行、音楽鑑賞、テニス、ピアノ
Q2. 今までの実績
受賞歴: 38賞
査読ありの出版物
英語論文 140編、英語著書 6編
競争的研究資金取得
代表4件、分担8件
Q3. 得意としている分野
専門分野は股関節外科で、コンピューター支援手術というコンピューターを使った整形外科の手術が専門で、学会の理事などもしております。
Q4. 西条中央病院での取り組み(どのような手術・術式をされているか)
手術前にCT画像をつかった3次元の設計図を立て、動きのシミュレーションをして、手術後に安心していろんな動作ができるように、個々の患者さんごとにオーダーメイドのプランニングをしています。ただ計画がどれだけ立派でもその通り手術が出来ないと意味がないため、スマートフォンを使ったナビゲーションによる人工股関節手術をおこなっています。全身麻酔後に仰向けで寝ている状態でこしぼね(骨盤)にQRコードを固定し、CT画像撮影時と同じ自然な姿勢での骨盤の位置を記憶させます。手術は横向きで行いますが、人工関節を入れる際、QRコードをスマホで読み込むと認識させた位置に対しての角度が表示されます。これによって3次元のプランニングで作った目標通りの手術ができるようになっています。
Q5.当院の整形外科で積極的にやっていきたいこと
今後も人工関節手術に積極的に取り組んでいきたいと思っています。
Q6.ぜひとも紹介いただきたい症状・所見(どのような状態で紹介したらいいか)
日本では人工股関節手術の8割が股関節形成不全が原因で、特に女性に多いです。人工関節のもちが悪かった一昔前は、70歳にならないと手術はダメと言われる時期がありましたが、現在の人工関節は素材もよくなり、コンピュータをつかった手術支援技術が発達し、若い患者さんにも勧めやすい手術となっています。痛みで人生を犠牲にする前に、気軽にご相談いただければと思います。
Q7.クリニックの先生へメッセージ
整形外科診療はコンピューター技術の発達により、ナビゲーションのコンパクト化、ロボット技術の活用、VR手術教育による技術習得、AIによる治療最適化が行われ、劇的に変わっています。今後のコンピューター技術に期待しつつ研究をしながら楽しく診療ができたらなと思っております。お困りの症例があれば、気軽にご紹介いただければ幸いです。