キャッチアップ接種、今年度で終了です。 産婦人科 主任医長 吉田望(こんにちわ2024年5月号)
子宮の入り口にできる癌(がん)、子宮頸(けい)がん。
国内では毎年、1万人以上が発症し、約3千人が死亡しています。(2022年は2,999人)。40代以下の女性癌死亡者数の第1位です。
死亡しなくとも、20代・30代で毎年1,200人が子宮を失うなどして妊娠できなくなっています。
子宮が残る円錐(えんすい)切除術は毎年1万4千件行われており、その後の妊娠で約20%が早産となります。早産のリスクは手術しなかった人の約4倍に増加します。
子宮頸がんは性行為によって感染するHPV(ヒトパピローマウイルス)が主な原因です。ワクチン接種していなければ80%が生涯に一度は感染するありふれたウイルスです。
昨年から定期接種(公費)できるようになった、9価ワクチン(シルガード®9)では88・3%の感染予防ができます。ワクチン接種による副反応は、新型コロナウイルスワクチンなどの筋肉注射ワクチンと同様です。14歳以下は2回接種で完了します。
検診を受けていれば大丈夫と思われている方、違います。子宮頸がんは通常5年以上かけて前癌(ぜんがん)病変(びょうへん)の異形成から癌になるので検診が有用です。しかし、子宮頸部(けいぶ)腺(せん)癌(がん)は検診で見つかりにくく、早期に悪化し、治療が難しい子宮頸がんです。これはワクチンでしか予防できません(97%予防)。近年、腺癌の割合が増加しています。
小学校6年~高校1年女子がHPVワクチンの定期接種対象となっています。加えて平成9年度以降生まれはキャッチアップ接種の対象で、今年度末(2025年3月末)まで公費(無料)で接種できます。3回接種完了に半年かかるため一度も接種していない方の開始期限は今年9月末までとなります。性行為の経験がある方も有用です。是非早めに検討して接種をお勧めします。
産婦人科 主任医長 吉田望