「そろそろ10年‥‥」 循環器内科 部長 入田純(こんにちわ2024年11月号)
CTOって、GTOみたいでかっこよさそうに聞こえますが、循環器内科医にとっては、全然グレートな教師でもスポーツカーでもありません。CTOとは慢性完全閉塞(へいそく)のことで、3カ月以上にわたり、冠(かん)動脈(どうみゃく)が閉塞している状態で、動脈硬化の進行によりゆっくりと血管が詰まっていきます。症状としては運動時の胸痛や、呼吸苦や浮腫(ふしゅ)などの心不全症状の精査途中で分かったりします。ご本人が症状に気づかないこともあり、健診をきっかけに見つかるってこともあります。閉塞していない狭窄(きょうさく)血管であれば、血管の走行は造影ではっきりわかるため、ガイドワイヤーを通過させることは比較的容易ですが、CTOは閉塞部以降の情報が血管造影だけではわからないため、特に術前の冠動脈CTの情報が重要となり、解剖学的な知識などと合わせて手技を進めガイドワイヤーの通過を目指します。最近、当院ではCTが新しくなり、詳しい情報も得ることができるようになったのも非常に手助けになります。冠動脈が閉塞していない狭心症に対するカテーテル治療と同じではありますが、成功率も狭窄病変よりはやや低くなりますし、手技時間も長くなることが多いです。
CTOに対する心臓カテーテル治療は、治療を行う医師の熟練した技術および適切な判断力が、成功に不可欠と言えます。私個人も日々勉強していますが、まだまだ道半ばであり、ここ数年CTO治療の際は、エキスパートの先生を当院にお呼びして、一緒に治療をさせて頂くことで、成功率および慢性期の成績も向上しています。来年度には血管造影装置が最新の機種に更新される予定です。最近の医療機器の進歩は目覚ましく、血管造影装置の更新も併せて、カテーテル治療が患者さんに満足いくものになるよう、私たちもさらに努力して参ります。
当院に赴任してそろそろ10年になります。前任の大学病院も約10年在籍しましたが、腎臓高血圧診療や基礎研究が中心だった大学病院時代と全く違う仕事内容で、志の高い若い先生と、一緒に勉強しながら仕事ができた10年でもあります。その先生も先日当院を旅立ち、次のステップへ向かいました。私もまだまだ立ち止まることなく、日々の診療に真摯に向き合っていきたいと思っております。
循環器内科部長 入田純