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2021-02-01

こんにちわ2021年2月号 新型コロナウイルスとアレルギー疾患(喘息や花粉症)  小児科医長 西村幸士

 糖尿病やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの基礎疾患がある方は、コロナウイルス感染症の重症化リスクが高いことが分かっています。では、気管支喘息はどうでしょうか?呼吸器疾患であり何となく重症化しやすそうですが、現時点(2020年12月)では、気管支喘息の患者は新型コロナウイルスに感染しにくいことが有名な学術論文雑誌で報告されています。重症化率も健常人と変わりません。その理由として、新型コロナウイルスが気管支の上皮細胞に侵入する際に結合する分子(ACE2)の発現量が、喘息患者では低下しているために感染しにくい可能性が示されています。小児も同様の理由で感染しにくいと言われています。反対にタバコを吸うと同分子の発現量が増大します。志村けんさんもヘビースモーカーだったそうです。

 喘息だからといって過剰に怖がる必要はなさそうですが、必ず感染しない、または重症化しないわけではありません。日頃のコントロール状態が悪いと、コロナウイルスに限らず風邪やインフルエンザなど他の感染症によって喘息は悪化し、それに伴って呼吸不全が重症化する危険性はあります。定期的な治療を継続し、発作を予防することが重要です。自己判断で治療を中止しないように注意して下さい。

 また、特定の吸入ステロイド薬がコロナウイルスに有効ではないか、というニュースがありましたが、症例報告のみで十分な検証はされていません。日本小児アレルギー学会から、現時点での使用は推奨されないとの注意喚起がありました。

 2020年の春は、スギ花粉症の症状が例年に比べて軽かったようです。マスクの着用率が大きく上がったためと思われます。花粉症は鼻閉で嗅覚障害を起こしたり、目をこすって接触感染したり、コロナ禍では地味に厄介な疾患です。外出時はマスクを忘れずに持って行き、今年もコロナと花粉症を上手に乗り越えましょう。

こんにちわ2021年5月号 -メディカルライフ教育出版発行の「こんにちわ5月号」より転載

 

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