こんにちわ2020年9月号 コロナ禍における内視鏡検査 ~ 当院の対応~ 放射線科 副院長 二宮克彦
新型コロナウィルスの感染ルートは主に飛沫感染及び接触感染と言われています。胃カメラ検査においては検査時のむせ込みやげっぷ、大腸検査では排ガスからのエアロゾルが空気中を漂い、吸入による医療スタッフへの感染の危険性が指摘されています。内視鏡検査室は構造上換気がしにくい場所ですので十分な感染対策が必須となります。当院では検査当日に問診、検温及び下記のトリアージ(選別)を行い内視鏡検査を施行しています。
①持続する感冒症状や発熱、息苦しさ、強いだるさのいずれかがある場合
②2週以内の新型コロナウィルスの患者やその疑いのある患者との濃厚接触歴
③2週以内の感染流行地への滞在歴
④明らかな誘因の無い味覚/嗅覚異常
⑤明らかな誘因が無く4~5日続く下痢などの消化器症状
以上のうち一つでも該当する項目があれば検査は延期させて頂いていますが、健診の場合はその際、バリウム検査への振り替えも検討しています。
現在、患者さんや医療従事者への感染防御対策として、マスク、フェイスシールド/ゴーグル、長袖ガウン、キャップ、手袋の着用の他、検査後のスコープや使用したその他の機器も感染源になり得るのでガイドラインに沿った消毒を行っています。検査後の十分な手指消毒は言うまでもありません。また、無症状の感染者も知られており「誰でも感染している可能性がある」ことを念頭におきスタッフは緊張感を持って検査に臨んでいます。
これまでに内視鏡診療を介した医療従事者や被験者への感染は世界的にも報告されておらず、上記の適切なトリアージと確実な感染防護策をとれば感染のリスクは非常に低いと考えられますが、現在第2波とも言える感染者増加がみられ、今後とも厳重な感染防止対策が必要と考えています。