こんにちわ2020年7月号 変形性膝関節症の高位脛骨骨切り術 整形外科部長 竹田治彦
変形性膝関節症の観血的治療(手術)の中に高位脛骨骨切り術があります。手術適応に制限がありますが、人工膝関節置換術と比べて自らの関節を温存出来る利点があります。今日はその高位脛骨骨切り術の話をします。
高位脛骨骨切り術は変形性膝関節症で内反(O脚)の下肢の脛骨(すね)を骨切りしてやや外反に矯正(まっすぐではない?)する手術です。その歴史は1965年に米国のCoventryが閉鎖式喫状骨切り術による高位脛骨骨切り術を報告して、次いで内側から骨切りする開大式骨切り術として1987年フランスのHernigouらによる開大部の自家骨移植、2003年に腰野らは人工骨をプレート固定して報告しました。その後の大きな変化は、竹内らの固定材料の開発よる早期荷重の報告でした。入院期間の短縮が可能になりました。
さて、米国のCoventryにより報告された高位脛骨骨切り術ですが、今日の米国ではあまり行われていません。現在の高位脛骨骨切り術は比較的限られた地域で行われており、手術件数が多い地域はアジアでは日本と韓国、欧州ではドイツ、スイス、オランダ、フランスなどです。最近は中国や台湾においての関心が高まり、特に中国では、北京と山東省で普及しているようです。日本では、高位脛骨骨切り術の件数は人工膝関節手術に比べて未だ少ないですが、2011年から2019年の間に約10倍増加していることから国内の関心の高まりを感じます。
以上、高位脛骨骨切り術の話でした。勿論、変形性膝関節症の治療は手術ばかりではありません。膝の痛みにお困りの方は受診して気軽に相談してください。