こんにちわ2018年5月号 おしりの悩みの相談について 副院長 外科 小野仁志
痔は、いろいろな肛門疾患を総称する名称です。痔の3大疾患には、痔核、痔瘻、裂肛があります。痔の診断と治療は、外科や肛門科で行われます。痔核は肛門周辺の血管に一部がうっ血してでてきたものです。痔瘻は、肛門周囲にたまった膿が破れ出て、膿が通る穴ができたものです。裂肛は肛門上皮が切れてさけたものです。
今回は、痔核の治療と生活療法についてお話します。痔核には、内痔核と外痔核があります。内痔核は、直腸の粘膜下にできるため、最初は痛みはないが、出血します。その後進行と共に痛みと脱出を伴ってきます。当初、排便が終わると自然に戻っていた脱出は、次第に手で押し込まないと入らなくなり、さらには常に脱出したままの状態になってしまいます。排便後に自然に戻るうちは、軟膏や生活習慣の改善により軽快しますが、脱出がひどくなると手術治療が必要となってきます。よく出来るところは3ヶ所あり、入院して脊椎麻酔による手術治療を行います。
外痔核は、血栓性外痔核ともいい、肛門に痛みのある硬いしこり(血のかたまりの血栓)ができた状態です。軽いうちは軟膏剤で軽快する場合もありますが、比較的容易に局所麻酔による日帰り外来手術ができます。また、症状軽快のためには、生活療法が大切です。トイレは出したいとき出る分だけ、終わったらおしりをきれいにし、食物線維をたっぷりとって便通をよくしてください。お風呂も毎日入ることで血行をよくすると共におしりも清潔にしてください。香辛料やお酒、たばこは控えめにしてください。