変形性股関節症について 整形外科 竹田治彦(こんにちわ2023年6月号)
メディカル教育出版発行 こんにちわ2023年6月号より
変形性股関節症について
股関節の変性疾患に変形性股関節症があり、国内の股関節症の方は120万から510万人いると推定されています。変形性腰椎症の3800万人や変形性膝関節症の2500万人と比較すると少ない数字ですが、股関節症を患うと強い痛みに困ることや日常生活に支障を生じることが個々によるものの少なくなく、かかる観点から腰・膝と股関節は等し並にできないところがあります。ここで変形性股関節症の原因、分類、その治療についてお話します。
さて、変形性股関節症は幼児期の発育性股関節脱臼や思春期以後の臼蓋形成不全の後の経年変化によって発症するが多く、約90%がその原因です。逆説的に言えば、加齢とともに生じる軟骨の退行変性のみで関節症になることは少ない疾患です。股関節症はその程度から前期関節症から末期関節症まで分類されます。股関節症が進行して強い痛みに伴って日常生活に支障を生じれば、その治療に手術を選択しなければならないことがあります。手術は大きく分けて2つあり、骨切り手術と人工関節手術です。それぞれが進歩しており、特に人工股関節手術ではその材料、工学、手術術式等の進歩により、現在の良好な長期成績から以前よりも若い層の患者さんに福音を届けることが出来るようになりました。
当院では令和4年4月から新しく愛媛大学整形外科教室の協力により人工股関節置換術の手術に力を入れています。現在の当院の人工股関節置換術では術前CT画像からAIアシスト処理を用いたデジタル3D設計図による術前計画と手術時のナビゲーションシステムを導入して正確な人工関節設置の計画及び実施を心掛けています。
最後に変形性股関節症の治療には薬物治療等の保存治療から手術治療まで様々な治療があります。変形性股関節症、また股関節の痛みでお悩みの方はご相談下さい。
整形外科部長 竹田治彦