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2024-09-06

「逆流性食道炎」をご存知ですか 特任副院長 渡部祐司(こんにちわ2024年9月号)

 胃・十二指腸潰瘍の主な原因とされるピロリ菌除菌には有効な治療薬があり、患者数が減少しつつあります。反面、除菌に伴う胃酸分泌増加や肥満に伴い胃食道逆流症(GERD)が増加しつつあり、成人の10-20%が罹患していると考えられています。

 GERDは「胃内容物の食道への逆流によって生じる不快な症状や合併症」と定義され、胃カメラ検査による粘膜欠損の有無でびらん性と非びらん性に分類されます。食道と胃の境界部に存在する胃食道逆流防止機構が破綻することで発生すると考えられています。症状は、胸焼けが典型的ですが、慢性咳嗽(がいそう)などの呼吸 器症状、咽喉頭違和感や咽頭痛、さらには非心臓性胸痛のような食道以外の症状を示すことがあるので注意が必要です。治療目標は症状の消失ですが、あわせて貧血、出血、食道狭窄(きょうさく)、バレット食道および食道腺癌などの合併症の予防も重要です。食道腺癌は近年増加傾向にあり、胸やけのある期間、重症度が関与します。治療は、まず8週間PPI(胃酸分泌抑制のためプロトンポンプ阻害剤)が処方されます。標準量では改善しない場合、投与量を増加したり消化管運動賦活(ふかつ)や漢方薬が追加処方されたりします。従来、内科的治療が有効でない場合に手術治療が選択されてきましたが、最近では投薬治療が長期化する患者にも手術治療が治療選択肢となりつつあります。また、バレット食道や狭窄、高度の食道炎を合併する場合や食道裂孔(れっこう)ヘルニアなどの合併症がある場合には手術が第一選択となります。手術は、開腹を要さず腹腔鏡下に行われます。食道が横隔膜を通過する脆弱(ぜいじゃく)な部分を閉鎖し、同時に胃の入口(噴門部(ふんもんぶ))を胃の一部で3/4周から1周をラッピングすることで逆流を防止するいわゆる腹腔鏡下噴門形成術が行われます。入院期間も短く手術後は投薬治療も不要となる場合が多く、術後5年以上の長期成績も90%程度が良好と報告されています。ただし、経験豊富な外科医の居る施設で手術を受けることが重要です。

 上記のような症状がある方は、当院にお気軽に受診して下さい。

特任副院長・外科 渡部祐司

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