2040年問題とこれからの医療 院長 風谷幸男(こんにちわ2025年1月号)
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
2040年問題ってご存じですか。団塊ジュニア世代が65歳以上の高齢者になることによって生じる社会問題の総称です。医療への影響について、私は、65歳以上の高齢者が増えることよりも、85歳以上の超高齢者が増え続けることの方が大きいと考えています。85歳以上の方はいくつもの病気を持ち、病気と付き合いながら生活している人がたくさんいます。治療後のゴールも若年層とは異なります。若年層の減少で治し切る医療の需要が減り、治し切らない医療や体への負担が少ない医療の需要が
増えると考えられます。急病や急変も増えます。当院では、超高齢化社会に備えるため、目指すべき病院像を「今まで以上に地域の救急医療に貢献するとともに、より高度で高齢者にも優しい急性期医療の実現に向けて、低侵襲手術や手技を積極的に導入し、需要の多い領域は地域完結型医療を推進する」ことと定め、病院運営に取り組んでいます。西条市は、市内での治療完結率が著しく低く、超高齢化社会を迎えるにあたり、その改善が望まれます。そこで、当院では、市内に不足している診療部門の充実、医師の更なる確保と医療機器の整備に力を注いでいます。医師については、一朝一夕に確保することはできません。数年先を見据えて粘り強く働きかけなければなりません。今年は、その働きかけの一部が実を結びそうです。医療機器については、2024年に病気の診断の核であるCT装置を256列の機種に更新しました。2025年には心臓や全身の血管のカテーテル検査や治療を行うための心臓血管連続撮影装置を、同時に2方向から撮影できる機器に更新します。さらに、低侵襲で繊細な動きが可能な手術を行うための究極の機器ともいえる手術支援ロボット(当院には日本のリーダーである渡部祐司愛媛大学消化器腫瘍外科名誉教授が在籍しています)の導入も目指しています。これらの設備とそれを担う医療者の確保により、よりハイレベルで、地域のニーズに即した医療の提供に努めてまいります。
院長 風谷幸男