ピルの話 産婦人科部長 村上雅博(こんにちわ2025年4月号)

女性の生理や妊娠には、エストロゲンとプロゲスチンという2種類のホルモンが関与します。ピルにはエストロゲンとプロゲスチンの成分が含まれています。ピルを内服すると脳からの卵巣刺激が抑制されるため排卵しなくなるので避妊できます。ピルの内服を中止すれば1か月ほどで月経が再開し妊娠可能な状態に戻ります。ピルに含まれるエストロゲン成分(エチ二ルエストラジオール)は成人女性の卵巣から分泌されるエストロゲンと比べると少量ですが、生体を維持するには充分量となっています。ピルは避妊目的だけでなく月経困難症や月経前症候群の治療にも使用されます。ピルを内服することで出血が減少し痛みが軽減します。生理前後ではホルモンが大きく変化するため月経前症候群が引き起こされる場合がありますが、ピルを内服することによってホルモンを安定化させると月経前症候群が軽減します。また副次的な作用として卵巣ガンや子宮体ガン(のリスク?進行?)を低下させることも知られています。このように病気の治療として使われるピルは保険適応となります。ピルの副作用ですがエチ二ルエストラジオールの作用で血栓症や脳卒中、虚血性心疾患のリスクが高くなります。対策としてエチ二ルエストラジオールの含有量を抑えたピル(LEP : Low dose Estrogen Progestin)が用いられてきました。近年ではさらに減らした薬剤?ピル?(ULD:Ultra Low dose)が発売されています。ときどきULDの避妊効果について質問されますが、海外ではULDも避妊目的に販売されています。正しく服用すれば避妊効果がありますが、日本では避妊目的の場合は保険診療ではなく、経口避妊薬(OC : Oral contraception)を自費診療で処方することになります。
産婦人科部長 村上雅博