当院の人工膝関節置換術について

変形性膝（ひざ）関節症はその定義にも寄りますが、国内の疫学調査（ROADプロジェクト）において国内では約2400万人の患者さんが存在すると言われています。最近ではグルコサミドグリカン（ヒアルロン酸ナトリウムを含めて）等が変形性膝関節症に対する補助食品としてテレビなどで流れるようになって、国民のその治療にかかわる関心がさらに高まったように思います。

さて、正常の膝関節では関節の表面は軟骨で覆われています。弾力性に富んだ組織と保水された組織からなる軟骨は、衝撃を和らげたり関節の動きを滑らかにしたりします。その仕事をしているのがコラーゲンとプロテオグリカンですが、大事なのはその組成とバランスです。変形性膝関節症は関節表面を構成するそれら軟骨組織が、加齢などに伴い変性してその機能を損ない、痛みや関節の曲がりにくさを生じる疾患です。整形外科の外来では、その保存的治療に対症療法としての消炎鎮痛薬処方、ヒアルロン酸注射、また大腿四頭筋訓練の指導などを行っています。一方で、高度変形や痛みの強い変形性膝関節症の治療の手段の1つとして人工膝関節置換術があり、当院でも行っています。人工関節は整形外科の領域において20世紀最大の発明とも言われています。その中で人工膝関節置換術はこれまで表面置換型人工関節としてそのデザイン、材質、術式、後療法（リハビリテーション）、周術期管理のあらゆる面で進化を続け、現在の長期成績は15年で95％を超えています。平成22年4月から、当院でも愛媛大学病院のサテライトとして人工膝関節手術を行っています。平成22年4月から今日（平成29年8月末）までに当院で人工膝関節手術を受けられた患者さんは、延べ165人（単顆型人工関節を含む）です。平成29年8月以降も西条市内の病院・診療所からの紹介による患者さん、手術を受けられた方からの紹介の患者さん、そして術後の患者さんなど、多くの方が受診される予定です。

もちろん手術だけではありません。変形性膝関節症に対して、保存的治療から人工関節手術まで、患者さん個々のニーズに合わせた治療を行っていますので、ご相談ください。

整形外科部長　竹田治彦

 

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