西条中央病院ニュースVol.5 産科(分娩)病棟の再開に向けて 産婦人科部長 是永進
産科(分娩)病棟の再開に向けて
雪を被った石鎚山系の白く尖った岩肌から吹き下ろす寒風に身を竦めながら西条中央病院へ赴任してから早くも3ヶ月が過ぎ、新緑をそよがす風が快く感じられる今日この頃です。
お産再開をお手伝いしたいという思いでやってきたものの、2年間という長いお産休止期間を考えると不安な部分もありましたが、院長先生、事務部長からのハード面での過不足のない対応をいただき、又、西村先生や産婦人科スタッフの暖かい歓迎を受け、その心配も杞憂であったと思えるようになりました。何よりも有難かったことは西村先生の指導の下に助産師2人が中心となって細々ながら助産師外来を続けていたことです。再開に向けての呼びかけに応じて多くの助産師が古巣へ戻ってきてくれたことも驚きでした。今は、この環境で働けることに誇りと喜びを感じています。
医療は今、いろんな意味で難しい時代に入ろうとしています。特に、テクノロジーの急速な進歩と情報の氾濫によって増幅された人々の期待と現実の医療との間に大きな溝ができてしまったように思えます。患者さんにとっても医療関係者にとっても辛い時代になってしまいましたが、後戻りできないことは確かです。産科の医療現場で可能なことは、出来ることと出来ないこととを明確に区別し、少しでも安全で質の高い医療を提供できるように1日、1日を地道に努力していくことだと私は考えています。
現在、私達は大きな希望と少しばかりの不安を胸に、蝉時雨の降る夏の再開の日に向けて慌ただしく喧噪の日々を送っています。
産婦人科 部長 是永 進