西条中央病院ニュースvol.28 分娩制限撤廃と腹腔鏡下手術の導入 産婦人科部長 村上雅博
分娩制限撤廃と腹腔鏡下手術の導入
これまでは産婦人科常勤医師が1名でした。そのため妊婦さんの安全を考慮して分娩制限をしてまいりました。2019年から常勤医師2名体制となり、2021年からは分娩制限を撤廃することができました。これからも妊婦さんにとって魅力ある分娩施設を目指してまいります。
具体的には、出産で入院の際に個室を確保します。また食事は産後の栄養面だけでなく美味しく見栄えも良い料理を提供できるよう栄養課に工夫してもらっています。出産前からの母乳指導をベテランから若手までの個性豊かな助産師たちが絶賛対応しております。立会分娩については条件を満たせば1名の立会いを許可しています。また、急変時には可能な限り当院で緊急帝王切開術を実施しています。されに、当院は市内唯一の産婦人科と小児科の両方を有する病院ですので、赤ちゃんに何かあった時にもすぐに相談できます。このように周産期医療が充実してまいりましたのは、院長を含めた病院の理解とスタッフの協力があったればこそです。心から感謝しております。
私の願いは、西条市の妊婦さんが希望すれば西条市で出産できる医療環境を構築することです。今後もまだまだ病院の態勢を整えていきたいと思っています。西条中央病院での出産をお考えの際には、リニューアルした病院ホームページを覗いてみて下さい。きれいな分娩室や素敵な食事など、ここでは紹介しきれない内容が盛りだくさんです。
さて話は変わりますが、みなさんは「手術」と聞くと、お腹を切開して腫瘍を摘出する場面を想像されるかたが多いのではないでしょうか。近年、カメラやエナジーデバイスの技術進歩により、お腹のなかをカメラで覗きながら小さな切開創から手術道具を出し入れして腫瘍を切除摘出する腹腔鏡下手術が一般化してきました。西条中央病院の産婦人科では2019年から腹腔鏡下手術を導入しました。2020年の1年間における産婦人科腹腔鏡下手術は33件でした。うち全腹腔鏡下子宮摘出術5件、腹腔鏡補助下子宮摘出術10件、腹腔鏡下卵巣腫瘍手術18件でした。また病状により可能と判断されればTANKO手術という、お臍の一箇所の傷だけでおこなう術式も導入しています。腹腔鏡手術は低侵襲で術後回復が早く、美容的にも優れているのでこれまでのところ大変好評をいただいております。地域の先生がたにおかれましては子宮筋腫、子宮脱、卵巣腫瘍など婦人科疾患の患者さんの紹介をお願いします。ただし悪性腫瘍、巨大な子宮筋腫、高度な癒着が疑われる場合は愛媛大学、愛媛県立中央病院、松山赤十字病院などに紹介しております。
産婦人科 村上 雅博
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