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2016-06-24

西条中央病院ニュースvol.19 心臓リハビリテーションの開始について 内科部長 中村真胤

心臓リハビリテーションの開始について

リハビリテーション(リハビリ)というと、多くの皆さんは、整形外科の手術後や脳卒中の患者さんが行う歩行や手足の運動の訓練をイメージされると思います。このリハビリの一分野として、最近、「心臓リハビリテーション(心臓リハビリ)」が注目されています。心筋梗塞、狭心症、心臓手術後の患者さんは、心臓の働きが低下しています。また、心臓をいたわるために安静な生活を続けたことで、運動能力や体の調節の働きも低下しているため退院してすぐには強い活動はできませんし、またどの程度活動しても大丈夫なのか分からないために不安もあります。社会復帰や職場復帰の前に、低下した体力を安全なやり方で回復させ、精神面でも自信をつける必要があります。また、心筋梗塞や狭心症の主な原因は、心臓の表面を走る冠動脈の動脈硬化です。再発予防には、原因となる動脈硬化の進行を防ぐことが大切です。動脈硬化の進行を防止するには、食事療法や禁煙とともに、運動療法が有効であることが分かっています。心臓リハビリとは、心臓病の患者さんが、低下した体力を回復し、精神的な自信を取り戻して、社会や職場に復帰し、さらに心臓病の再発を予防し、快適で質の良い生活を維持することをめざして、運動療法、患者教育、生活指導、カウンセリングなどの活動プログラムに参加することです。

心臓リハビリによる効果は、1)運動能力が増加し、楽に動けるようになる 2) 狭心症や心不全の症状が軽くなる 3)不安やうつ状態が改善し、快適な社会生活を送ることができる 4)動脈硬化の危険因子が軽減できる 5)血管内皮機能や自律神経の働きが良くなり血栓ができにくくなる 6)心筋梗塞の再発や突然死が減り、死亡率が減少する などがあります。心臓リハビリは、病気の時期によって異なり、急性心筋梗塞の発病や心臓手術の手術日から1~2週間は「急性期リハビリ」と呼ばれており、入院中に一般病棟で洗面、排便、シャワー浴、廊下歩行など身の回りの動作が完全にできるようになることが目標です。発病から2~3か月間は「回復期リハビリ」と呼ばれており、退院して社会、または職場に復帰することが目標です。リハビリの場所は、入院中のリハビリから「外来通院リハビリ」や「在宅リハビリ」に移ります。

社会復帰ができれば心臓リハビリが終了かというと、そうではありません。回復期に引き続き生涯にわたる「維持期リハビリ」が必要です。維持期リハビリは、在宅あるいは地域の運動施設などで、運動療法をする一方、二次予防、つまり再発予防のために食事療法や禁煙を続け、「生涯にわたる快適な生活の維持」が目標です。当院では現在「急性期リハビリ」を行っていますが、今後、準備ができ次第「回復期リハビリ」「維持期リハビリ」を開始する予定です。

 内科部長 中村 真胤

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